膝関節について
膝関節は太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)、膝のお皿(膝蓋骨)から構成されます。脛骨の関節部分はほぼ平らな形をしていて、その上を大腿骨の丸い先端が転がるように動きます。
この3つの骨はやわらかい関節軟骨で覆われており、大腿骨と脛骨の間には半月板という『C』の形をした軟骨の板があります。これらは膝にかかる衝撃を吸収する働きをしています。さらに関節部分は関節包で包まれており、この内側の滑膜から関節液が分泌され、潤滑機能を果たしております。これら軟骨、半月板、関節液が働くことで、膝関節は滑らかに動くことができます。
また、膝関節には大腿骨と脛骨をつなぐ、主として4つの靭帯があり、膝関節を安定させるために重要な役割を果たしています。
膝関節の疾患について
膝関節の疾患について、下記PDFファイルをご参照ください。
膝関節の手術加療について
・人工膝関節置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)
・人工膝単顆置換術(UKA:Unicompartmental Knee Arthroplasty)
・高位脛骨骨切り術(HTO:High Tibia Osteotomy)
・膝前十字靭帯再建術(ACLR:Anterior Cruciate Ligament Reconstruction)
変形性膝関節症に対して手術療法として変形した股関節の変わりに人工関節に置き換える手術療法を行います。
膝関節の損傷の程度や軟骨の状態、また年齢や元々の日常生活レベルを考慮して、TKA、UKA、HTOの選択をします。
また人工関節以外にも、膝関節の前十字靭帯の損傷や半月板損傷に対して、関節鏡による再建手術を行います。
人工膝関節置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)
変形性膝関節症や関節リウマチなどにより変形、損傷した膝関節を、関節の代替として働くインプラントと呼ばれる人工膝関節部分に置き換える手術です。
大腿骨面は元の骨とほぼ正確に一致する丸みのある金属コンポーネントと置き換えます。脛骨面も金属コンポーネントを、そしてその間には軟骨の代わりとして超高分子量ポリエチレンという素材を使用した滑らかなコンポーネントと置き換えます。これにより痛みの緩和、歩行能力の改善が期待できます。
患者さんの年齢や骨の形状、質によって骨セメントを用いる場合と使用せず直接骨に固定する場合があります。
【術前術後のレントゲン】
人工膝単顆置換術(UKA:Unicompartmental Knee Arthroplasty)
膝関節のすべてを人工物に置き換える全人工膝関節置換術(TKA)と違い、悪くなっている部分(おもに内側)だけを人工物に置き換える手術です。
したがって、膝関節のその他の部分を温存できます。
なによりも、前十字靱帯と後十字靱帯を温存できるので、膝関節のより生理的な動きが期待できるのがメリットです。
【術前術後のレントゲン】
高位脛骨骨切り術(HTO:High Tibia Osteotomy)
人工関節手術とは違い、関節の温存に重点を置いた手術となります。活動性が高く、手術後に運動を行う方等が対象となります。
一般的には40~60歳代の若い世代で手術が必要な方が対象になることが多いです。
手術は、開いた関節面には人工骨をつめ、プレートにて内固定をします。
脛骨内側の関節面を開いてO脚をX脚に矯正することで、荷重の集中を軽減させます。
【オリンパス製インプラント】
【術前術後のレントゲン】
膝前十字靭帯再建術(ACLR:Anterior Cruciate Ligament Reconstruction)
前十字靭帯は膝の上下の骨をつないで膝の安定性を保つ靭帯であり、損傷することで膝の動きに大きな影響を与えます。スポーツ等で走る、ジャンプ等の膝への負荷が受傷機転となります。
スポーツへの復帰はもちろん、前十字靭帯損傷をそのままにすると半月板損傷や関節軟骨損傷に繋がり、将来的には変形性膝関節症になるといわれており、損傷の度合いにもよりますが、手術を行うことが推奨されます。
手術は関節鏡を使用し、患者自身の腱を使用して前十字靭帯の代わりができるように作り直す再建術となります。
スポーツ復帰には6ヶ月~8ヶ月を要します(筋力回復や協議によって異なる)。
また半月板損傷が合併している場合は、同時に半月板縫合術を行います。
【イラスト・レントゲン】
リハビリについて
整形外科手術として、手術後の適切なリハビリテーションが必要です。
症例によるリハビリの概要については下記PDFファイルをご参照ください。